衝動性や不注意を特性とするADHDの人は、他の人に比べ遅刻しやすいと言われています。
今回は、社会的な信頼を失墜しかねない遅刻によるトラブルを回避ためADHDの人にできる対策を、遅刻してしまう理由とあわせ解説します。
ADHDの人が遅刻しやすいのはどうして?
ADHDの人には、以下のような特性が現れやすいとされています。
- 衝動性のために計画を立てられず、「急げば間に合う!」と感覚だけで行動してしまう
- 不注意の特性のために、計画を立てていてもスケジュール通りに準備することができない
- 時間処理の障がいにより、実際の時間の経過を感覚的につかめず、遅刻してしまう
- 目先の情報に意識が散ってしまい、予定に従った行動が取れなくなってしまう
- 一旦焦るとなかなか切り替えられず、時間など他のことに意識を向けられなくなる
- 強く思い込むあまり、行き先や所要時間、出発時間を間違えてしまう
このようにADHDの人は、計画を立てたりスケジュールに沿って動くのが苦手で、かつ時間や現状を正確に把握するのが難しいとされています。
ADHDの遅刻、具体的にどうやって対策すればいい?
ADHDの人が遅刻予防に効果的な対策としては、以下3つが挙げられます。
- まずは冷静に、自分が遅刻する原因や傾向を分析してみる
- 持ち物や目的地、移動のための方法やルートなど、外出の準備は前日に済ませる
- アラームやカレンダー、リマインダーなどスマホの機能・アプリを有効活用する
具体的にどう対策をすれば良いのか、以下にそれぞれ見ていきましょう。
まずは冷静に、自分が遅刻する原因や傾向を分析してみる
ひとくちに発達障がい、ADHDと言っても、その特性の現れ方には個人差があります。
まずは自分がなぜ日常的に遅刻してしまうのか、外出する前日・当日の行動パターンを思い返し、分析してみましょう。
こうすることで、あなたが取るべき特性に合った遅刻対策が具体的に見えてきます。
持ち物や目的地、移動のための方法やルートなど、外出の準備は前日に済ませる
思い込みや不注意からパニックを起こし遅刻することが多いようなら、外出のための準備を可能な限り前日までに済ませるようにしてみましょう。
前日までに目的地、またその所要時間とルート、必要な持ち物をすべて準備・確認しておき、できれば自分以外の人にもダブルチェックをしてもらってください。
これにより、外出当日は身支度と時間管理に集中できるようになり、思い込みによるトラブルもかなり減らすことができます
アラームやカレンダー、リマインダーなどスマホの機能・アプリを有効活用する
時間処理の障がいのあるADHDの人は、起床や身支度にかかる時間をうまく予測できず、ダラダラしているうちに遅刻してしまうケースも多いです。
時間の使い方がわからず遅刻することが多いなら、外出までにかかる時間を計測しておき、細かくスマホのアラームやリマインダーを設定しましょう。
例えば、身支度に合計1時間必要で、8時に家を出なければならない場合。
外出すべき時間から逆算して、以下のように小刻みにアラームをセットしておくと効果的です。
- 1回目
- 6:30 ⇒ 起床前の予告
- 2回目
- 7:00 ⇒ 起床時刻
- 3回目
- 7:10 ⇒ 歯磨き・洗顔
- 4回目
- 7:20 ⇒ 着替え・朝食
- 5回目
- 7:40 ⇒ 髪のセット
- 6回目
- 7:50 ⇒ 持ち物の確認・戸締りのチェック
- 7回目
- 8:00 ⇒ 出発
自分の特性に合わせて上記の対策を少しずつ習慣化し、遅刻を減らせるように工夫していきましょう。
おわりに:原因に合わせ具体的に対策していけば、ADHDの遅刻は減らせる
ADHDの人には不注意や衝動性、強い思い込み、時間処理の障がいが現れやすいです。このため適切に外出の準備・計画を進めるのが難しく、遅刻のトラブルを引き起こしやすいとされています。ADHDの人が遅刻するのを防ぐには、外出までに必要な準備・行動の手順を特性に合わせて変えたり、工夫することが求められます。まずは遅刻原因の分析から始めて、必要な対策を洗い出し、少しずつ生活に組み込んでいきましょう。
コメント