発達障がいの子どものなかには、特性のために集団生活が難しい子も少なくありません。このため就学にあたっては、特別支援学級を進められることも多いです。
今回は発達障がいの子どもが支援学級に行くことのメリットについて、その他の学級・学び方との違いとあわせ、ご紹介していきます。
特別支援学級ってどんなところ?
比較的軽度な障がいを持つ子どもに対し、個人に合わせた配慮・教育を行うために、全国の小中学校に設置されている少人数制の学級のことです。
定員を8名とし、以下のような障がいの種別ごとに学級が用意されています。
- 特別支援学級の障がいの種別
- 知的障がい、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障がい、自閉症・情緒障がい
かつては「特殊学級」と呼ばれていましたが、2007年の学校教育法改正に伴い「特別支援学級」と名称が改められ、2015年現在では、全国の小学校で79.5%、中学校では75.5%に特別支援学級が設置されています。
提供される教育の内容は学校によって異なり、交流学級や共同学習として、通常学級の特定の授業へ参加する制度を設けている学校もあります。
特別支援学級と通級学級にはどんな違いがあるの?
普段は他の子どもたちと一緒に数十人1クラス単位で学習しながら、障がいの程度にあわせた指導を他教室でも並行して受ける学習スタイルを「通級学級」と言います。
特別支援学級と通級学級、2つの違いと特徴を端的に表すと、以下のようになります。
- 特別支援学級
- 少人数制で、子どもの特性にあわせたきめ細やかな学習指導を受けられる
他の子どもたちが学ぶ通常学級へは、休み時間や朝の会・終わりの会など特定の時間帯のみ通い、基本的には特別支援学級内で過ごす - 通級学級
- 基本的には他の子どもたちと同じように、集団生活のなかで学習を行う。
ただし必要に応じて、発達障がいの程度に合わせた指導を「通級指導教室」など別室で受けられる教育形態。
では、特別支援学級と通級学級、どちらの環境で就学させるのがより良い選択なのでしょうか。
以下からは、発達障がいの子どもの就学環境の選択に悩んだら確認すべき、特別支援学級と通級学級のメリット・デメリットを解説します。
特別支援学級のメリット・デメリット
メリット
- 子どもの発達状態、得意や不得意にあわせた内容と速度で学習を進められる
- 原則クラス替えがないため、子ども本人が落ち着いて学校生活を送れる
- 休み時間や朝・夕方の集会など、通級の子どもたちと触れ合う時間も取れる
デメリット
- 通常学級の子どもと接する時間が少なく、教室の行き来がストレスになる場合がある
- 近くの学校に特別支援学級がない場合があるため、遠方への通学が必要になることも
- 子どもの学習能力や意欲によっては、学べる教科数や内容が物足りなく感じることもある
通級学級のメリット・デメリット
メリット
- 通常学級の子どもと同じように集団生活を送り交流するので、日々の刺激が多い
- 他の子どもと同じ授業内容を学べるため、学習面が遅れる心配が少ない
- クラスメイトと良い関係を築ければ、自然と周囲からのフォローを受けられるようになる
デメリット
- 通常学級と通級学級との行き来を、子どもがストレスに感じる場合がある
- 学習についていけなくなり、途中で特別支援学級へ移る必要が出てきた場合に、子ども本人が強い抵抗を示すことがある
- クラスメイトやその保護者に、子どもの特性をどのように伝えるべきか判断が難しい
交流級にはどんなメリットがある?
特別支援学級に籍を置きながら、発達障がいの子どもが一定時間を通常学級・通級学級の子どもたちと一緒に過ごすことを「交流級」「交流学習」と言います。
交流級は特別支援学級の子どもたちにとって、他の子ども達とのかかわりを通して社会性を養い、より好ましい人間関係を構築するための学習機会になります。
また通常学級・通級学級の子ども達にとっては、発達障がいを持つ子どもの存在を認知し、理解を深めるきっかけとなることが期待されています。
つまり交流学級は特別支援学級と通常学級・通級学級、双方の子ども達にとってメリットの大きい学習方法と考えられているのです。
ただし、特性によっては大人数の子どもとの接触に強い抵抗感を示す場合もあります。
交流級を行うべきか、また交流級参加させるべきかどうかは、子ども本人の特性に配慮して教師や親が判断した方がいいでしょう。
おわりに:特性にあった内容・速度の教育を受けられるのが特別支援学級のメリット
特別支援学級は1クラスの定員を8名とし、少人数制で個々の子どもの障がいの内容・特性に応じた教育を受けられる学級のことです。また発達障がいの子どもが就学するうえでの選択肢としては、通常学級に在籍して定期的に特別指導を受ける通級学級も挙げられます。特別支援学級と通級学級のどちらに子どもを通わせるのか、その判断は子ども本人と親にゆだねられます。本人の特性や性格にあわせて、ベストな選択肢を考えてみましょう。
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