発達障がいなどの障がい・持病を持つ人の就業をサポートする福祉サービスのひとつに「就労継続支援A型」があります。
今回は就労継続支援A型の支援内容、サービスを利用できる人の条件や、就労できる仕事内容、利用料金や給料額まで、まとめて理解していきましょう。
就労継続支援A型とは?B型との違いは?
障がいや難病を持っている人のうち、就労サポートを受けて働きたいという人のための福祉サービスが「就労継続支援A型」です。利用対象の人で手続きを行うと、就労継続支援A型の施設で働くことができます。
そして就労継続支援A型の福祉サービスを提供する事業所を、就労継続支援A型事業所と呼びます。
なお、就労継続支援A型事業所の指定を受けるには、以下3つの条件すべてを満たしていなければなりません。
- 就労継続支援A型事業所指定を受けるための条件
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- 従業員の配置、技能、人員配置等に関する基準
- 事業所に必要な設備等に関する基準
- サービスを提供するにあたって、事業所が行わなければならない事項や留意すべき事項など事業を実施する上で求められる運営上の基準
就労継続支援A型の福祉サービスは、2013年4月施行の障がい者総合支援法に基づき提供がスタートしました。その特徴は以下の通りです。
- 就労継続支援A型の特徴
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- 障がいや難病を持っている人が、職場と雇用契約を結び働くことができるよう支援する
- 利用者は継続して就業ができるよう、A型事業所側からサポートしてもらえる
- 労働者は雇用契約、労働基準法に守られる立場であるため、法定以上の残業時間を強いられることも、最低賃金以下での労働を強いられることもない
- 基本的には就労継続支援A型事業所で勤務するが、A型事業所側から十分な能力・技術を持つと判断された場合は、一般企業への就職支援も受けられる
就労継続支援A型のほか、「就労継続支援B型」という支援があります。就労継続支援A型と就労継続支援B型は、雇用契約の有無や利用条件が異なります。就労継続支援B型では雇用契約を結びません。
利用対象に制限はあるの?障がい者手帳は必須?
就労継続支援A型のサービスを受けられる対象者は、以下4条件をすべて満たす人です。
- 就労継続支援A型サービスを受けるための必須条件
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- 原則として、満18歳以上65歳未満であること
- 身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がいや難病がある
- 過去に就労経験があるものの、現在は働いていない
- 過去に就労移行支援サービスや特別支援学校での就職活動を経たものの、雇用に居たらなかった
なお、障がい者手帳を取得しているかどうかは必須条件ではありません。医師の診断、または定期的な通院実績があれば、手帳がなくても利用が認められる場合があります。
ただし、就労継続支援A型を利用するための条件には地域差がありますので、詳しくはお住まいの地域の障害福祉窓口に確認してくださいね。
就労継続支援A型事業所でどんな仕事ができる?
就労継続支援A型事業所で従事できる仕事内容は、事業所により異なります。
以下に、就労継続支援A型事業所で提供されることの多い仕事内容の例をご紹介します。
自分の経歴・適性に合った就労機会を提供してくれる事業所選びの参考にしてください。
- 就労継続支援A型事業所で従事できる仕事内容の例
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- パソコンによるデータ入力作業
- インターネットサイトの構築、運営のための事務作業
- カフェやレストランでの接客、配膳業務
- 販売店での品出し、接客、販売業務
- シール貼り、パッキングなどの軽作業
- 車や機械の部品作成
- 荷物の配送
- 農作業
- 清掃
就労継続支援A型の給料と利用料の目安は?
最後に、就労継続支援A型サービスの利用にまつわる金銭面のことについて解説します。
まず、就労継続支援A型事業所から受け取れる給料額についてですが、サービス開始直後の2014年と2015年の月額平均給料は以下の通りです。
- 就労継続支援A型事業所から受け取れる月額平均給料額
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- 2014年…6万6412円
- 2015年…6万7795円
先述したように、就労継続支援A型事業所で働く人は労働基準法に守られ、最低賃金を上回る報酬額を受け取ることができます。
しかし就労時間が短い場合も多いため、受け取れる給料額は多くありません。
一方でここ数年、就労継続支援A型事業所の給料額が上昇傾向にあることも事実ですので、興味がある人は定期的な情報収集をおすすめします。
次に、就労継続支援A型サービスの利用にあたってかかる料金についてですが、以下2つの要素により変わってきます。
- 就労継続支援A型サービスの利用料金を左右する要素
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- 利用者が、事業所に通所する日数
- 利用者本人と同じ世帯に住む人の収入状況
世帯収入に合わせた上限の範囲内で、通所日数に合わせて利用料金が変動する仕組みです。基本的には通所日数が多いほど、利用料金も高額になります。
なお、世帯の収入状況別の利用料金の自己負担額の上限目安は、以下の通りです。
- 世帯の収入状況別、就労継続支援A型サービスの利用料金の上限目安
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- 生活保護受給世帯…0円
- 市町村民税非課税世帯…0円
- 市町村民税課税世帯…9,300円
- その他の世帯…37,200円
確認のうえ、あなたの世帯がとの収入状況に当てはまるかは、お住まいの地域の福祉窓口に相談してくださいね。
おわりに:就労継続支援A型は、障がいや難病を持つ人がサポートを受けながら働くための福祉サービス
2013年4月、障がい者総合支援法施行に伴いスタートした就労継続支援A型は、障がいや難病を抱えながらも就労を希望する人のための福祉サービスです。利用の条件は自治体によっても異なりますが、必須の3条件を満たしてさえいれば、障がい者手帳を持っていなくても利用可能です。就業できる仕事内容や、受け取れる給与額は事業所により異なりますので、詳しくは就労継続支援A型事業所か自治体の福祉窓口に問い合わせてみてください。
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