食生活の見直しやサプリメントによる栄養補給が、発達障がいの症状改善に効果を発揮する可能性があることをご存知でしょうか。
今回は、発達障がいの症状改善への効果が期待できる栄養素やサプリメントについて、間違った食事療法の特徴と合わせ解説していきます。
発達障がいに効果が期待できる栄養やサプリは?
発達障がいの人は偏食傾向があり、そうでない人に比べてうまく栄養を吸収できないといわれています。このため、一部の栄養素を意識的に多く食事に取り入れたり、サプリメントなどで補給するようにすれば、発達障がいの症状改善に役立つケースがあるのです。
発達障がいによる症状の改善、困りごとの軽減に効果的とされる栄養成分の具体例としては、以下が挙げられます。
- DHA、EPAを多く含むフィッシュオイル
- 血流が促進されるため、脳の活性化や記憶力・観察力向上の効果が期待できる
- マルチミネラル、マルチビタミン
- 人間の健康維持に欠かせないビタミンとミネラルを、それぞれ数種以上組み合わせたもの
- ビタミンD
- 食事から摂取する他、日光に当たることでも生成できる栄養素。眠気改善に効果的
- DMAE
- 集中力を向上させる効果があり、不注意による遅刻や忘れもの、多動の改善に効果的
- イチョウ(ギンコライド)
- 血流改善に効果的で、脳の血流を活性化して働きを良くする作用が期待できる
- イノシトール
- 集中力・記憶力・注意力を高め、精神状態を安定させる。多動などの症状改善に
- コリン
- 集中力・記憶力・注意力を高め、精神状態を安定させる。主にイノシトールと併用する
- GABA
- 精神の高ぶりからくる不眠、イライラの軽減に効果的。落ち着きのなさを軽減したいときに
- メラトニン
- 睡眠の質を上げる効果があるとされる
- ナイアシン
- 1日あたり1500~3000㎎を複数回に分けて摂取すれば、多動を改善できるとされる
- カルニチン
- 疲労感や倦怠感を改善し、脳での記憶形成を助ける作用がある。慢性疲労の改善に効果的
- ホスファチジルセリン
- 血流を良くし、脳細胞を活性化してくれる栄養素。気分の落ち込み、不眠を改善する
- チロシン、またはフェニルアラニン
- 精神を高揚させるアミノ酸の一種。フェニルアラニンからチロシンが生成される
- 5-ハイドロキシトリプトファン
- うつ症状、不安感、攻撃性、衝動性を抑え、脳内の興奮を鎮める作用も期待できる
- セントジョーンズワート
- 抗不安作用のある栄養素。脳内の神経細胞間で、精神を落ち着かせる効果のあるセロトニンやノルアドレナリンを増加させる
- テアニン
- お茶に多く含まれる栄養素で、心身をリラックスさせる作用がある。不安やイライラの軽減、睡眠の質の向上に効果的
ただし、食事の内容を変えたり、サプリメントを摂取することで、発達障がいの治療に直接的な効果を現すわけではありません。
特定の栄養素を積極的に摂取することで発達障がいの症状を改善し、治療に向き合いやすい安定した状態にすることはできると、理解しておいてください。
間違った食事療法やサプリメントに注意!
食事やサプリメントでの栄養補給によって、発達障がいが根本的に治ることはありません。
発達障がいの症状が「食事やサプリメントで改善できる」というのは、症状を軽減することで当事者の生活を豊かにし、健康状態を向上させるという意味です。
発達障がいの人は、どうしても特定の種類や調理法の食事しか摂取できない偏食に陥るリスクが高くなります。
食事療法は、そんな発達障がいの人が栄養の欠乏による症状や二次障害を発症するリスクを軽減し、過ごしやすくするための方法のひとつなのです。
従って、特定の食材や食事方法だけを推奨し「発達障がいが治る」「発症しにくくなる」などと謳う以下のような方法は、いずれも間違っています。
- 発達障がいの改善・治療にまつわる、間違った食事療法や代替医療の例
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- 砂糖や化学調味料、肉を多く与える食事が子どもの発達障がいを起こす
- 発達障がいの軽減や治療には、玄米菜食を厳守することが効果的
- 特定のミネラル分のみをたくさん摂取すれば、水銀を体から出し発達障がいを治せる
- 子どもの発達障がいは、妊娠中の親の食事が原因で発症する など
くれぐれも間違った情報に惑わされず、食事やサプリメントでの栄養補給による発達障がいへの効果・目的を正しく理解してください。そのうえで、書籍やネット記事で見聞きした情報を真に受けるのではなく、信頼できる医療機関または専門家に相談しましょう。
おわりに:食事の見直しやサプリで、発達障がいの症状を改善できる可能性はある
偏食に陥りやすい発達障がいの人は、そうでない人に比べ栄養不足にもなりやすいとされます。このため食事内容を見直したり、サプリメントなどで意識的に栄養素を補うことで、栄養状態が改善して発達障がいによる症状・困りごとも軽減される可能性があるのです。
ただし、食事療法やサプリメントの摂取自体に発達障がいへの治療効果はありません。得られる効果と目的を正しく理解したうえで、バランス良く栄養素を摂取しましょう。
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