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スクールカウンセラーにはどんな相談ができるの?学校に採用されるために必要なこと

子育て・教育のヒント

小学校や中学校、高校にスクールカウンセラーを配置している学校がありますよね。子どもにとって学校は社会生活の場所ですから、悩みやストレス、トラブルも発生します。

そんなときに相談相手となりアドバイスをしてくれるのがスクールカウンセラーですが、具体的な相談内容や1日の仕事の流れ、スクールカウンセラーになるのに必要な資格について見ていきましょう。

スクールカウンセラーに相談できる内容って?

スクールカウンセラーの仕事は、さまざまな問題や心の悩みを抱えた児童・生徒に対して、専門的な知識やスキルを用いて心のケアや早期の立ち直りを促すことです。スクールカウンセラーは、カウンセリングを通して相談を受けたりアドバイスをします。スクールカウンセラーが扱う問題やトラブルの例は下記となります。

  1. 不登校
  2. いじめ問題
  3. 暴力行為
  4. 友人関係
  5. 非行・不良行為
  6. 家庭環境
  7. 教職員との関係
  8. 心身の健康・保健
  9. 学業・進路
  10. 発達障がいなど
  11. 小中連携
  12. その他の内容
  13. 児童虐待
  14. 貧困の問題
  15. 性的な被害
  16. ヤングケアラー
  17. 校内研修
  18. 教育プログラム

(参考:文部科学省「令和元年度 スクールカウンセラー等活用事業 実践活動事例集」)

スクールカウンセラーを利用できるのは児童・生徒だけではありません。保護者と教職員も対象です。そのため、心療内科や精神科など施設のカウンセリングに通うのが大変な家庭は、学校にいるスクールカウンセラーに相談することで通院の負担を軽減できるでしょう。また、教職員がスクールカウンセラーと連携することで、学校で起きた困りごとについてより詳細な情報共有ができ、具体的な改善につながりやすくなります。

スクールカウンセラーが配置された学校は、平成8年は全国で553件でしたが、平成18年には1万件を超えました。平成30年には26,139件となり、令和では3万件を超える学校への配置を目指しています(参考:「スクールカウンセラー等活用事業に関する Q&A(令和2年10月)」)。

上記のことからみても、スクールカウンセラーの需要は年々高まっています。また、子どものSNS利用率上昇に伴い「ネットいじめ」が発生したように、教育現場で起こる問題やトラブルは常に変化しています。急激に変化していく社会とともに、スクールカウンセラーの必要性も高まっていきそうですね。

スクールカウンセラーの1日の仕事の流れ

スクールカウンセラーは非常勤として働いている場合が多いです。登校日に必ずスクールカウンセラーが勤務しているとは限りません。出勤した日は、一般的に次のような流れで業務に当たります。

1日の仕事の流れの例

  • 出勤
  • 教員や養護教諭と、児童・生徒に関する情報を共有
  • 保護者からの相談に対応する
  • 相談室またはカウンセリングルームに来室する児童・生徒の対応
  • 不登校が続いている児童・生徒への手紙作成などの業務に当たる
  • 学校などとの会議に出席
  • 出勤日の記録を作成し、提出
  • 退勤

カウンセリングの利用率や問題の発生頻度によって、スクールカウンセラーの忙しさはさまざまです。また、事故や事件、震災が起きた場合は、ショックを受けた児童や生徒の心のケアに当たることもあります。

カウンセリングとコンサルテーションが仕事の基本

スクールカウンセラーの仕事は、基本的には「カウンセリング」と「コンサルテーション」と考えられています。

カウンセリングとは

児童・生徒、保護者、教職員と面接・面談を通して相談を受けます。カウンセリングによって問題行動の原因に関する気づきを得たり、相談者が抱えていたストレスが和らぐことが期待されます。カウンセリングの方法や頻度は、カウンセリングを受ける人の状況などを考慮し、学校側とも相談して決めます。カウンセリングを受けるきっかけも、本人が希望する場合のほか、教職員が本人にスクールカウンセリングを進める場合もあるなど人によって異なります。

コンサルテーションとは

コンサルテーションの言葉の意味は、専門家の立場から適格なアドバイスや援助を含めた検討などを行うことです。スクールカウンセラーが行うコンサルテーションは、カウンセリングよりも指示的な意味合いが強くなります。文部科学省が提示しているコンサルテーションの具体例を紹介します。

  • 不登校をどう理解するか、及びそれへの対応の仕方、フリースクールの意味、必要性、是非など
  • その他の問題行動や症状の理解の仕方、及びそれへ対応の仕方
  • 生徒指導上の問題に関する心理学的観点からの助言
  • 発達上の課題に対する理解の仕方、及びそれへの対応の仕方
  • 学級、学年、学校が崩壊状態になっている場合のその事態の理解の仕方、対処の仕方
  • 虐待の理解の仕方、被虐待時への対処の仕方
  • 災害、事件、事故などへの危機対応、心のケアの行い方、PTSDの理解の仕方
  • 教職員のメンタルヘルスに関する管理職の相談
  • 友人が子供の不登校で悩んでいる、その親子にどのように対応すればよいのか
  • 近隣の家で虐待が行われているようだ

スクールカウンセラーが扱う相談内容は幅広いことがわかりますね。子どもの気持ちに寄り添うだけではなく、大人の子育てや仕事の悩みに耳を傾け、専門的な目線からの助言を求められることもあります。

また、カウンセリングとコンサルテーションのほかにも仕事はあります。次章ではスクールカウンセラーのその他の仕事内容について説明していきます。

スクールカウンセラーのその他の仕事

カウンセリング、コンサルテーションがスクールカウンセラーの基本の仕事といえますが、その他には「協議(カンファレンス)」「研修・講話」「アセスメント(査定、診断)、調査」「危機対応、危機管理」などがあります。

協議(カンファレンス)
協議(カンファレンス)は、問題やトラブル、気になることが発生したときに行われます。発生した事例に関して、関係者が現状報告をして情報を共有します。その上で、解決策を話し合います。教職員やスクールカウンセラーの役割分担が行われることもあります。
研修・講話
スクールカウンセラーは、教職員や保護者、地域などに向けて、講話や講演などを行うことがあります。
アセスメント(査定、診断)、調査
査定(アセスメント)とは、 心理検査を用いた査定(アセスメント)を指します。解決を目指す問題などに関する情報を集め、分析します。
診断、見立て(アセスメント)における診断とは、医療行為です。そのため、医師資格を持たないスクールカウンセラーが、児童や生徒について診断をすることはできません。特に注意が必要なのは、「人格障がい」、「行為・行動障がい」「境界例(ボーダーライン)」「神経症」「うつ」「精神病」「PTSD」「LD(学習障がい)」「ADHD」「アスペルガー障がい」などです。
調査とは、児童・生徒に対して、ストレスチェックなどのスクリーニングのための調査、その他の意識調査を行なうことです。アンケートは調査に当たります。
危機対応、危機管理
事故や事件、災害などの発生によって危機的状況が発生したときに、スクールカウンセラーが緊急危機対応を行ないます。

(参考:「兵庫県におけるスクールカウンセリング実施のためのガイドライン」)

スクールカウンセラーになるには資格取得がおすすめ

スクールカウンセラーに就くためには、公認心理師、臨床心理士の資格が必要とされることが一般的です。文部科学省は、各都道府県または指定都市に配置するスクールカウンセラーについて、資格要件を以下のように定めています。

スクールカウンセラー
  1. 財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士
  2. 精神科医
  3. 児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、教授、准教授又は講師(常時勤務をする者に限る)の職にある者又はあった者
スクールカウンセラーに準ずる者
  1. 大学院修士課程を修了した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者
  2. 大学若しくは短期大学を卒業した者で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、5年以上の経験を有する者
  3. 医師で、心理臨床業務又は児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験を有する者

臨床心理士の資格は、大学を卒業後に指定大学院を修了、または臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了し資格試験に合格することで取得できます。

公認心理師は国家資格です。大学と大学院で必要な科目を履修する、大学で必要な科目を履修するなど専門知識の習得をし、資格試験に合格する必要があります。資格取得後は、各自治体の教育委員会や私立学校によるスクールカウンセラー募集に応募し、採用を目指します。

資格がない場合も、教職員の職務経験が必要とされています。資格取得者かつ、子どもの教育や心理への知識と理解が深い人物が望まれているということがわかりますね。

スクールカウンセラーは非常勤職員が多い?

スクールカウンセラーの雇用形態は非常勤が多いといえます。精神科医などが週に複数回学校で勤務するケースや、複数の学校を掛け持ちしているスクールカウンセラーもいます。

おわりに:スクールカウンセラーになるには確かな知識が必要

スクールカウンセラーの需要は上昇傾向にありますが、採用には資格取得を求められることが多い職業です。子どもを対象とした仕事というイメージもありますが、実際は保護者や教職員の相談にも乗ります。また教職員との連携は、問題やトラブルの改善には欠かせません。専門的知識を磨きつつ、人に寄り添う素敵な仕事ですよね。お子さんが通う学校にスクールカウンセラーがいるか調べてみてはいかがでしょう。

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