子どもの教育には、学校、家庭、塾などさまざまな機会があります。しかし住んでいる地域や家庭の経済状況などによって、受けられる教育の質や内容が変わってきます。今回は、子どもの貧困や教育格差にふれながら、近年注目が集まっている「eラーニングシステム」について紹介します。
日本の教育格差って?教育の不平等は世界的な課題
家庭の経済的な理由によって、子どもが教育を十分に受けられず、教育に格差が生まれることを教育格差といいます。
日本の子ども(17歳以下)の相対的貧困率は、13.5%という調査結果が出ています。日本の子どもの約7人に1人が相対的貧困状態であるという計算になります。2014年のOECDのまとめでは、日本の子どもの貧困率は先進国34ヶ国中10番目という結果になりました。
※「子どもの貧困(相対的貧困)」とは、17歳以下の子どものうち、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調節した所得)の中央値の半分に満たないの子どものこと。
(参考:公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン)
日本国内でも子どもの貧困、教育格差が大きくなっています。こうした子どもの教育に関する問題は、世界に眼を向けるとさらに深刻な状況が起きていることもあります。
コロナ感染拡大でスリランカも休校に。eラーニングシステムで学習サポート
「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とする、すららネット株式会社(以下すららネット)は小学生向けのeラーニングシステム「Surala Ninja!」を開発しました。「Surala Ninja!」は、自立型学習支援教材「すらら」の海外版として、小学生向けに開発された教材です。アニメーションを通して学習する教材で、たし算、引き算、かけ算、わり算の計算を楽しく学べます。
「Surala Ninja!」は、スリランカ向けのシンハラ語版、インドネシア向けのインドネシア語版、インドやフィリピンで活用中の英語版と多言語展開しています。
発展途上国や情勢が不安定な国では、テロ発生時に学校が休校になることがあります。そういったとき、学習継続のためにeラーニングシステムが活用されてきました。さらに、2020年の世界的な新型コロナウイルス感染拡大も、学校の運営に影響を与えています。
スリランカでは、コロナ感染予防のために3月中旬から休校となりました。一部の学校では再開の動きがみられますが、休校が長期化しています。こうしたスリランカの状況をみて、すららネットは4月以降から「Surala Ninja!」での自宅学習サービスを開始。5月末までの時点で、 500 名以上の子どもが自宅でのオンライン学習を受けられるようになりました。
ミャンマーの子どもの教育支援と生活環境向上を目指すプロジェクト
すららネットは、eラーニングシステムを通して海外の子どもの教育サポートを積極的に行っています。今回は新たに、小学生向け算数 e-ラーニング「Surala Ninja!」の海外展開事業の一環として、ミャンマーにおける遠隔教育プロジェクトを開始します。
また、双日株式会社が経済産業省より受託した「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(ASEAN諸国等における無電化/弱電化地域及び島嶼部への分散型スマートインフラ導入マスタープラン策定及び水平展開に関する調査)」における、デジタル教育に関するパイロット活動に参加することも決定しています。
「Surala Ninja!」を活用した、ミャンマーの子どもたちの数学力の向上を目指すと共に、双日のプロジェクトでは以下の調査なども行います。
- プロジェクト対象地域
- 平均電化率が50%程度と言われるミャンマーの無電化/弱電化地域
- 調査内容
- 通信タワーの電源を活用した分散型スマートインフラ導入の可能性
対象地域へ通信と電力を供給し、遠隔教育や遠隔医療の導入、生鮮食品販売、養鶏など新規中小ビジネスの創出、電子決済システムを含むフィンテックの導入を目指します。
おわりに:コロナ過における世界中の子どもの学習継続を考えよう
子どもの貧困や教育格差は、日本でも身近な社会問題になってきていますが、国際的に議論されています。2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、ますます子どもの教育機会が失われている状況です。国の境界を越えて対処すべき子どもの教育について、真剣に考えてみてはいかがでしょう。
会社情報
すららネット株式会社
「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」が企業理念。アダプティブな対話式 ICT 教材「すらら」を、国内では 約 1,400 校の塾、学校等に提供。発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど、日本の教育課題の解決を図ることで成長。代表的な EdTech スタートアップ企業として、2017年に東証マザーズに上場。2018年には政府の特待生「J-Startup企業」に認定され、EdTech業界をリードする企業として活動中。
(画像:PRTIMES)
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