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発達障がいの子どもに対応できる塾のメリットって?

人間関係改善のヒント

発達障がいとは、生まれつきコミュニケーションや社会性、感覚や運動などの機能に何らかの困難が生じるという障がいのことで、多くの場合知的障がいは伴いません。しかし、発達障がいの特性により、定型発達の子どもに合わせた学校や塾では学習しづらいことも多いです。

そこで、発達障がいの子どもに合わせた塾に通うのがおすすめです。塾に通うメリットを、子ども自身と保護者の両方から見ていきましょう。

発達障がいの子どもが塾に行くことのメリットとは?

発達障がいの子どもがその特性に対応した塾に通う場合、それぞれの子どもの特性に合わせた個別指導計画を作ってくれるため、得意な部分はさらに伸ばし、苦手な部分は無理なく少しずつできるよう、さまざまなアプローチで学習を支援してくれます。ですから、一般的な学習塾や学校の集団授業ではなかなか難しい、きめ細やかな指導を受けられることが大きなメリットです。

具体的には、「学習面での支援」「社会生活についての支援」の2つの面と、それによる精神的な安定の3つのメリットに分けられます。項目ごとに詳しく見ていきましょう。

学習面での支援

発達障がいに対応した塾では、学習を年齢で区切っていません。そのため、大人になるまで同じ塾で一貫性のある教育を受けられ、ストレスなく確実に学んだことを身につけられます。例えば、幼稚園に入る前の年齢から大人までの長期的な教育を受けられれば、学習のスピードがゆっくりな発達障がいの子どもでも1つずつ確実にステップを上がっていくことができます。

また、塾や学校にはそれぞれの教育方針があるため、年齢ごとに塾や学校が変わると学習内容や学習方法が変わってしまい、発達障がいの子どもにとっては混乱を引き起こしかねません。その点、幼児期から大人までずっと同じ場所で教育を受けられる塾なら、学習内容や学習方法を変える必要がありませんので、子どもが混乱せずに済みます。

発達障がいの子どもは、その特性も一人ひとり個人差が大きいですし、能力も定型発達の子どもと同じように子どもによってさまざまです。そのため、マンツーマンで個別指導を行うことにより、それぞれのできること・できないことに合わせて学習を進められ、子ども自身がストレスなく学習できるため、学ぶことが楽しく感じられることでしょう。

塾によっては、独自に作成したオリジナル教材を使っているところもあります。これは、一般的な市販の教材とは異なり、学習障がいを持つ子ども専用に作られるもので、学習障がいの特性に合わせたさまざまな配慮がされています。例えば、読み書きが苦手な子どもには段階を追って習得できるような工夫がされているなど、学習障がいを持つ子どもがつまずきやすいポイントを強化して作られていますので、苦手になりがちな分野もスムーズに学習しやすくなります。

社会生活についての支援

上記のような学習面での支援に加えて、発達障がいを持つ子どもが苦手としがちな社会生活スキル(ソーシャルスキル)のトレーニングや、さまざまな体験プログラムを行っている塾もあります。こうしたトレーニングやプログラムでいろいろな課題に取り組み、成功体験を積み重ねていくことで、自立心・社会性・コミュニケーション能力など、社会で生きていく上で必要なスキルが育っていきます

こうした社会生活スキルは、テキストや言葉で説明されてもなかなか身につきにくいもので、実際に社会生活を疑似体験しながら周囲の状況を考えながら行動していく経験を積み重ねていくことが重要です。そのため、コミュニケーションや社会的なルールを覚えるための「ロールプレイング」という形の訓練をしている塾もあります。教えられたことを実際に自分がやってみて練習し、実際の社会生活にも活かせるようにしていきます。

ロールプレイングでは単なるルールだけでなく、「相手の気持ちを理解する」という臨機応変な対応も少しずつ学んでいきます。嫌なことを言われたら相手はどう感じるのか、そのとき自分はどう感じたか、どうするべきだったか、といったように実体験を通じて学ぶことで、相手を思いやる能力を高め、人間関係を改善したり新しく構築しやすくなったりすることもできます。

精神的な安定にもつながる

ここまでご紹介してきたような学習面、社会生活面での理解ある支援を受けることで、塾が子どもにとって居心地のよい場所になり、先生は自分の味方だと感じることができます。さらに、「できた!」「わかった!」という成功体験をどんどん積み重ねていくことで、健全な自信や自立心を養うことができ、自己否定や自己評価が低下することなく、うつ状態などの二次障害を防ぐことにもつながります。

こうした精神面でのサポートは意外と見落とされがちですが、一般的な定型発達の子どもに合わせた義務教育や子ども社会の中で疎外感や孤立感を感じやすい発達障がいの子どもにとって、「この場所や人は自分を理解してくれる」という精神的な安心感は非常に重要なものです。子どもたちが健全な自信を育み、人生を前向きに捉えながら生きていけるような精神面からのサポートが得られることも、発達障がいに対応した塾の大きなメリットの1つと言えます。

発達障がいの子ども対応の塾に行くことは、保護者にもメリットがある?

発達障がいの子どもに対応した塾に行くことは、子ども本人だけでなく保護者にとってもメリットがあります。通っている子どもは皆、個人差はあれど発達障がいを持っているのですから、その保護者どうしで同じ悩みを分かち合い、保護者どうしで交流することができます。とくに、グループ指導の場合には保護者も交流しやすくなるでしょう。

こうした交流によって「自分だけじゃない」と心にゆとりを持てたり、子育てに対して前向きになれたりするというメリットがあります。発達障がいを持つ子どもを悩みながら育てている人はたくさんいます。とくに、進学や就職の際に普通学級へ通わせるか、支援を受け続けるかなどで悩むことも多いでしょう。

そんなとき、先輩の保護者や生徒を見ることで、自分の子どもの将来も想像しやすくなります。生き生きと塾に通いながら前向きに進学や就職に向かっている発達障がいの子どもや、その保護者を見ることで、保護者も自然と安心でき、前向きになりやすいことでしょう。こうした理由からも、幼児期から大人までが対象で長期的なサポートを受けられる塾に通うのがおすすめです。

塾選びのときに気をつけることは?

まず大前提として、子ども自身の特性に合った塾を探す必要があります。また、一口に発達障がいと言ってもその症状はさまざまですし、重度自閉症の子どもや、知的障がいを含む「かなー症候群」の子どもなど、症状が非常に重い場合は対応できない塾もあります。ですから、まず「どの程度の障がいに対応できるのか」「どんな特性の子どもに対応できるのか」といった部分をしっかり調べる必要があります。

中には「発達障がいに対応可能」「発達障がい児を受け入れ可能」とだけ書かれていても、実際にはただ発達障がい児を受け入れただけで、学習を支援する体制が全くない場合や、指導方針を講師に丸投げしている塾もあります。この場合、経営者自身も聞きかじりで偏った発達障がいの知識しか持っておらず、特徴や対応方法について正しく理解していないことも考えられます。

中途半端な知識と対応方法では、発達障がいの子どもを受け入れ、対応することはできません。成績が伸びないというだけでなく、間違った指導方法によって学習意欲を低下させたり、厳しい叱責によって劣等感を増大させてしまったりと、学習面でも精神面でも悪影響を及ぼす可能性もあります。ですから、「どんな特性や症状に対応できるのか」「どの程度の障がいに対応できるのか」といった細かい確認が必要なのです。

発達障がいは一人ひとりが違う特性を持っていて、その程度もさまざまです。自閉症やアスペルガー症候群が「自閉症スペクトラム」というグラデーションの概念に統一されたように、症状の種類や度合いによって個性も大きく異なりますし、ひとくくりに「発達障がい」とまとめられるものではありません。

そこで、塾を選ぶときの見極めポイントとして「体験授業」「有資格者の在籍状況」の2つをおすすめします。まずは1日だけ体験授業を受けてみて、子ども本人が勉強しやすかったかどうか聞いてみると良いでしょう。保護者から見て非常に手厚いサポートがあると思えても、発達障がいの子ども本人にとっては全く的外れだった、という場合もあります。

発達障がいの特性には個人差が大きいですから、例えば同じ自閉症スペクトラムと診断された子どもでも、本人が学びやすい環境は全く違うこともあります。ですから、子ども本人が「また通いたい」「楽しく勉強できた」と感じられること、本人が意欲的に学習に向かえる塾こそが、その子にぴったりな塾だと言えるのです。

もう一つのポイント「有資格者の在籍状況」ですが、例えば公的な支援施設の運営に必要な資格として「精神保健福祉士」「児童発達支援管理責任者」があります。この2つはよく知られているほか、字面からも発達障がいや福祉のプロであることがわかります。一方でよく知られていない資格として、以下のような資格もあります。

  • 発達障がいコミュニケーション指導者資格
  • 自閉症スペクトラム支援士
  • 発達障がい学習支援サポーター資格
  • チャイルド・ライフ・サポーター資格

これらの資格を塾の経営者や講師が持っているのであれば、発達障がいへの正しい理解や適切な指導方法がわかっている、と考えて良いでしょう。

選んではいけない塾の特徴ってある?

逆に、塾選びをする上で選ばない方が良い塾というのも存在します。発達障がいの子どもを持つ保護者の方は、どうしても子どもの将来に不安を覚えたり、子育てが正しいのか不安に思ってしまったりすることも多いのですが、そこにつけこんで高額な授業料やテキストを請求し、質の悪い授業で不当な利益を得ようとする「悪徳塾」も残念ながら存在します。

具体的には、以下のような特徴のある塾は「悪徳塾」である可能性が高いと言えます。

  • 問い合わせをしていないのに、勝手に勧誘の電話をかけてくる
  • 料金を公表していない、あるいは「○○一式」「○○コース代」などで、詳細な価格がわからない
  • 「生徒管理費」「教師選抜費」など、用途がはっきりわからない費用が計上されている
  • 授業料一年分を最初から一括で支払わせようとする
  • 非常に高額な教材を買わせようとし、断っても「ないと教えられない」「選んだコースとセット」などと言われ、買わざるを得ない状況にさせられる
  • 「志望校合格率100%」「成績アップ保証」など、誇張した内容の広告が目立つ
  • ホームページや広告の内容と、実際の塾でのカリキュラムや指導方法が異なる

悩みや不安があるとどうしても焦って探してしまいますが、上記のような質の悪い塾に惑わされず、よく吟味して本当に良いと思える塾を探しましょう

おわりに:発達障がいに対応できる塾で、子どもの意欲を引き出そう

発達障がいに対応できる塾に通うことは、長期的で一貫した学習方法や学習内容で子どもが混乱せず、確実に学習したことを身につけていけるという大きなメリットがあります。また、塾によっては社会生活のための訓練も受けられます。

保護者にとっても、同じ悩みを抱える保護者と交流することで、心にゆとりが生まれ、前向きになれるというメリットがあります。体験学習などを上手に利用し、子どもが楽しく学べる塾を選びましょう。

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