発達性協調運動障がいは、発達障がいの子どもが併発しやすいとされる障害です。
また一方で、特に身体や知能に障がいが認められない人が発症することもあります。
今回は発達性協調運動障がいがどのような病気か、罹患している子どもに置きやすいトラブルや、治療・リハビリの方法とあわせて解説していきます。
発達性協調運動障がいがいってなんのこと?
目や手足、手と足など複数の機能を同時に動かし、別々に動かして行う「協調運動」がうまくできない状態のことを「発達性協調運動障がい」と言います。
発達障がいの子どもが併発しやすいとされる運動障がいの一種で、日常生活や運動時に以下のような症状を表します。
- メモなどを見ながら、文字を書き写すことがうまくできない
- 文字を書くことを難しく感じ、紙を破いてしまうこともある
- 目で縄を追い、足でタイミングよく飛び上がる縄跳びができない
- 目と手足を一緒に動かして行う、ボール遊びがうまくできない
- 靴ひもがうまく結べない
- 小さい頃は平坦な場所でよく転んだり、寝返りや立つのがゆっくりだった など
なお発達障がいが確認されず、身体・知的障がいが見られない場合でも、日常生活に支障をきたすほど不器用で協調運動が苦手な場合は、発達性協調運動障がいの可能性があります。
発達性協調運動障がいの子どもに起きやすいトラブルは?
ここからは発達性協調運動障がいの子どもに見られやすいトラブルを、1歳未満から13歳までの年齢別にご紹介していきます。
- 1歳未満の乳児期によく見られるトラブル
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- 母乳やミルクの飲みが悪く、離乳食を食べてもすぐにむせる
- 寝返りやハイハイがうまくできず、他の子どもと比べて身体能力の成長が遅く感じる
- 1歳~6歳未満までの幼児期によく見られるトラブル
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- ハイハイや歩行、立ち上がったり座る動作が全体的にゆっくり
- 靴ひもを結んだり、ボタンをかけたり手先を使う動作が極端に苦手
- 平坦な場所でも転びやすく、転んだときにもすぐ手が出なくてケガをする
- トイレで上手にお尻を拭けず、手やお尻を汚してしまう
- 6歳~13歳未満までの小学生の時期によく見られるトラブル
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- パズルや模型を作るなど、複数のパーツを組み合わせて作る作業が苦手
- ボール遊びや縄跳びが苦手で、友達と同じペースでは進められない
- 階段の上り下りがぎこちなくなってしまう
- お箸をうまく使えず、靴紐を結ぶのも苦手
- うまく文房具を扱えず、えんぴつや消しゴムで紙を破いてしまいがち
ただし、上記の傾向に当てはまったからと言って必ずしも発達性協調運動障がいであるとは限りません。
子どもの成長速度には個人差があり、得手・不得手の分野も人によってかなり異なります。
特に、子どもが小さければ小さいほど運動能力の個人差は大きくなりやすいので、あくまで目安として考えてくださいね。
病院の治療やリハビリ以外でどんな対策がある?
発達性協調運動障がいの治療は、病院や支援施設などでリハビリを通して、複合的な作業・運動を行えるように訓練していくのが一般的です。
しかし発達性協調運動障がいの可能性がある子どもに対し、学校や家庭でのトラブルを改善するために、家庭でもできることはあります。
特に手先をうまく使えないことによるトラブルは、家庭で指先の使い方を楽しく学べる以下のような機会を提供することで、かなり軽減できるでしょう。
- 粘土遊びを通して、指への力のかかり方や、細かい作業をする感覚を覚える
- アスレチックやブランコでの遊びを通じ、自分の体重を支えるのに必要な力加減を知る
- コインを握る、つまむ、容器に入れるなどの遊びを通して、指の動かし方や力の入れ加減を学ぶ
すぐに効果が現れるとは限りませんが、上記を続けることで徐々に子どもの身体機能が育ってきます。本人が楽しみながら訓練を続けられるよう、工夫してあげてくださいね。
おわりに:発達性協調運動障がいの子どもは、日常生活でちょっとした困りごとに見舞われやすい
目を手足など、複数の身体機能を同時に動かすことが苦手で、日常生活に支障をきたしてしまう状態を発達性協調運動障がいと言います。
あらゆる人に発症の可能性がありますが、特に発達障がいの子どもが併発しやすいとされる障がいです。発達性協調運動障がいの子どもには、他の子どもに比べ運動能力の発達が遅く、手先を使うことが極端に苦手な傾向が見られます。兆候を感じたら、家庭で楽しく指先を鍛えられる遊びを提供してあげましょう。
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